生温いコーヒーがほろ苦くて




「キョン君?」

真夜中も過ぎた頃ようやく帰宅した彼を温かく迎えてくれる少年。

今日は姿を見せない。



いつも土曜日の夜は彼の自宅に足を運んでくれるのに。



もしかして眠ってしまっているのでは、と
かすかな期待をしながらリビングの明かりをつけた。



「…おや…。」



するとテーブルの上に
まだほんのり温かい
コーヒーの入ったメーカーと

メモがあった。




『お帰りなさい。
ハルヒが天体観測を思い付いたらしいんで行ってきます。

冷めてると思うけど珍しくコーヒー美味く入ったから置いて行きますね。
まずくなってたら捨ててください。



じゃあ、すみません。
お仕事お疲れ様でした。
ゆっくり休んでくださいね。



また来週来ます。』




「…取られましたか。」



彼は苦笑して、ソファーに腰を下ろした。

ふう、と一つ息をつくと。

少年が置いて行ってくれたコーヒーをいただこうかと

一緒に伏せられていたカップを手にとった。



####



「…上出来ですよ、キョン君。」

今はいない恋人に語りかけた。


「今度は、一緒に飲むとしましょうか。」




少し寂しく思いながら。またメモを手にとった。



すると、少し紙がすけて少年が消したらしい文字の跡が目に入った。




その字を理解すると。
彼の口元に笑みが浮かんだ。


「私もですよ。」





今日は新川さんに会いたかったです。




END





当時ハルヒちゃんで活躍してたのでまた書きたくなってました
新キョンです。


前の告白話を書いてから新川さんは私の中でコーヒー名人決定です!



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